選考委員賞

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

モデルハウス・体感施設

耐震+断熱

4,700万円

2025年07月

リノベーション後 After

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

ユニバーサルデザインで設計され、最大10名が泊まれる一棟貸しゲストハウス「U10(ユーテン)」。
“ 建築を通じて地域の課題に向き合い、地元を盛り上げたい” という想いを形にした

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

窓はすべて樹脂サッシに変更し、快適な室内を創出。
滞在者のつながりを大切にした空間設計で、リビングは北側の庭まで視線が抜ける気持ちよさ。各所に心地よい居場所を設けている

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

ユニバーサルデザインを採用し、車椅子でも使える水回りやオストメイト対応トイレなどを備える。年齢・性別・障がいの有無に関わらず使用できる建物となっている

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

屋外に設けた屋根付きのアウトドアダイニング「GOOD-TIME PLACE」。性能向上された室内だけでなく、半外空間を使った豊かな暮らしも合わせて提案している

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

放射冷暖房装置を仕切りのように利用したリビングダイニング。左に見える建具は、能登地震の被災住宅で使われていたもの。「今あるものを使う」という考えのもと現地でレスキューされた建具や梁を購入し、復興支援にも取り組んだ

既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

建物北面に設けたウッドデッキと五角形の「サムライサウナ」。水風呂の木樽も地域の食品会社から譲り受けたものを使用している

リノベーション前 Before

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    山林に囲まれた広大な敷地に立つ築50年の平屋

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    シンプルな佇まい。瓦屋根の状態も良好で、当初より瓦の流用を検討していた

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    日本に多くある築古の民家のスタイルであった

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    小屋裏の構造材は比較的シンプルな構成。大きな雨漏れもなく健全な状態であった

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    既存基礎のコア抜きも実施。配管用の貫通部や、減築部分で行う

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    床下状況も潜って確認。乾燥状態も良く、シロアリ被害見られなかった

リノベーション施工中 Process

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    瓦屋根を残し、木構造はフルスケルトンで仕上げた

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    基礎補強の際はガードホールダウン金物ジベルを施工し引き抜き力にも対応

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    既存瓦屋根を流用したが、リスクの高い谷部は改めて板金処理を実施

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    屋根と壁には、吹き込みタイプのウッドファイバー(木質断熱材)を使用
    屋根:300mm/壁105mm

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    外壁には、ボードタイプのウッドファイバーを使用
    外断熱/60mm

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    結露計算を行った上で、外装にはウルト社の高耐久な透湿防水シートを使用。結露にも備え、耐久性を高めている

技術的なポイント Point

■耐震
評点1.6以上
添え基礎+新設基礎
ホールダウン追加
外周部にモイス、内部に筋交いで耐力壁を設けバランス確保
鉄筋ブレースと鋼製火打金物で水平力を担保

■断熱
断熱等級7
基礎断熱カネライトFX+90mm
壁断熱ウッドファイバー吹込み+105mm
壁外貼断熱ウッドファイバーボード+60mm
屋根断熱ウッドファイバー吹込み+300mm

■屋根
既存瓦をそのまま利用
谷部や取り合い部は全て手を入れて耐久性確保

■壁
杉モルダー仕上げをラフに使用
全面杉板、押縁貼りで後年のメンテナンスにも配慮
縦横胴縁で通気層+21mm×2を確保

■バリアフリー
ユニバーサルデザイン採用
車椅子スロープ
動線幅および居室を車椅子通行に配慮
バリアフリートイレ(オストメイト)
バリアフリーユニットバス

■半外空間
「GOOD-TIME PLACE」採用
玄関をつくらず南面にガラス屋根の半外空間を設置
以下のように多様な役割を持たせた
冬期:サンルームおよび風除室
中間期:アウトドアリビング
夏期:すだれ等により日射遮蔽機能保持

■災害対策
井戸水を復活させライフライン停止に備えた
薪ボイラーを設置し、通常時は屋外風呂として使用
災害時は近隣住民の避難を受け入れる場として活用する

■空き家・中古住宅利活用
当該プロジェクトにおいて、不動産取得価格は300万円。性能向上リノベーション費用と合わせても総額5000万円であり、一般的な土地購入+高性能住宅建設のスキームに比べれば安価と言える。
中心市街地からやや離れた立地でも、魅力的なコンテンツのある地域価値の高いエリアは全国に数多く存在しており、そのような場所で空き家や中古住宅を取得し、性能向上リノベーションを実施するのは、コストの面から見ても、暮らしの豊かさから見ても、選択に値するものだと考える。冒頭で述べた「リノベがいいよね」というムードを生み出すきっかけとして捉えられたい。

間取り Plan

リノベーション前

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    広さに加えて区画された居室も多く、92歳の住まい手が一人で暮らすには、管理や維持が負担となる建物となっていた

リノベーション後

  • 既存住宅活用の未来をつくる「U10(ユーテン)」

    基本形状はそのままに北西の物入を減築し、浴室を増築。サウナを設置した。
    南面には半外空間を設け、内外をつなぐ役割を持たせた

物件概要

所在地
掛川市上内田2205
敷地面積
1884.96㎡(570.2坪)
延床面積
157.7㎡(47.7坪)
構造
木造(在来工法)
既存建築年
1975年(築51年)
改修竣工年月
2025年07月
省エネ基準地域区分
6地域
断熱性能
UA値 改修前3.61w/㎡・K⇒改修後0.25w/㎡・K(改修前の15.04倍に向上)
耐震性能
上部構造評点 改修前0.29 ⇒ 改修後1.67

企業紹介

企業名
有限会社エフ・ベース
Webサイト
https://fbase.jp/
コメント

多くの人が住まいを新築したり、リノベーションをしたりする理由は、「暮らしをより良いものにしたい」という気持ちからではないでしょうか。

耐震性や断熱性能は基本中の基本。災害や自然の脅威から守られる安心が第一です。

更にエフ・ベースでは、“住む”ことが“健康”につながるような暮らしを目指しています。
それを「DWELLNESS(ドゥエルネス)」と呼ぶことにしました。

暮らしの営みの中には様々な「作業」があります。

「掃除」「洗濯」を始めとして、ライフスタイルによって様々ですが、「庭のお手入れ」「畑仕事」「D I Y」「自転車の整備」など。
中には「薪割り」なんていう人もいるでしょう。

そんな日々の作業で楽しみながら身体を動かすことや、自然を感じたり、会話を愉しんだり、趣味に没頭したりといった、リラックスした時間を持つことによって、心身の健康に繋げていくような暮らし方をご提案しています。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。