「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

持ち家リノベーション・リフォーム

耐震+断熱

3,800万円

2024年08月

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リノベーション後 After

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

南面ファサード。ブロック塀を取り払い、もともとの庭と室内をつなげる。外壁仕上げは、杉板 そとん壁。庭木は剪定し、アプローチは素材を変えてやり直した。

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

前面道路から1mほど高いところに家が建っているため、アプローチの庭が段々となり、テラスの舞台が宙に浮いて庭に突き出したような形。新潟平野、道、低い庭、高い庭、舞台、室内、といった段々の構成。

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

リビングに面した大開口。南側をみる。室内と、減築してし設けたテラスの舞台を一体化。庭と平野をひょいと取込む。天井の木格子は、ピアノの音響に配慮し、部材のサイズを2種類用いて不規則に並べています。

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

畳小上りから南側をみる。ピアノスペースは下屋を含めたニッチとし、新たに吹抜けを設けた。主室の耐力壁には金属製筋交いを使用して開放的に。

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

ダイニング。ピアノ周辺の空間性、造作家具、素材はピアノの音響を考慮した。吹抜け、複数の天井高、木あらわし部の凹凸、珪藻土仕上げ、壁面棚の飾り物による吸音など。

「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

2階フリースペース。吹抜けの天井は、音響を考慮してフラットにせず、一部は屋根勾配そのままの勾配天井として丸太梁をあらわしにした。仕上げも音響を考慮し、多孔質の珪藻土の塗り回し。お施主が家族総出で自ら塗り上げた。

リノベーション前 Before

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    築27年のゆったりとした民家。南面ファサード。ブロック塀が家と庭の間に建っている。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    お施主は造園への関心が高く、自身の感性で自由かつ丁寧に庭木を管理していた。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    中廊下の周りに各部屋が仕切られて配置されているという昭和のプラン。南向きに和室があるが、常に障子戸が閉まっていて使われていない状態。庭と切り離された印象。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    ピアノ室から南側をみる。一応、南面に窓があるが、いまひとつ庭との親しみが薄い。間仕切りで各室が仕切られていて、家全体の開放感が乏しい。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    インスペクションして床下の状況が健全であることを確認。地面は乾き、基礎にひび割れや蟻道もなく、土台にも重大な劣化は見られなかった。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    インスペクションで小屋裏も健全であることを確認。雨漏りもなく、リノベーションの方向に決める。一応の断熱材は入っているが、気密への配慮がなく、躯体内部気流で断熱性能が発揮されていない状況。

リノベーション施工中 Process

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    南面ファサード。スケルトンにした状態。しっかりした四寸柱で梁ともに健全だが、柱や筋交いが少なく、耐力壁が弱い。瓦屋根と基礎・土台はそのまま利用して、構造体を補強していく。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    柱を追加して新設し、外周部に構造用面材を張る。窓は南面は冬の日射取得に配慮したペアガラス、その他は断熱に配慮したトリプルガラスとした。玄関ドアは木製断熱ドア。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    間取りの変更により既存の柱を撤去したところには、梁の補強をおこなう。既存梁の下端に補強の梁を入れ、ボルトで接合。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    床の断熱は床断熱とする。大引き間に厚さ100mmのポリスチレンフォームを敷き、24mm厚の針葉樹合板を張る。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    壁断熱は、高性能グラスウール16k内部充填105mm厚、および外部付加断熱ポリスチレンフォーム50mm厚。気密断熱は新住協方式。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    天井は構造体が入り組んでおり、セルロースファイバーを300mm厚で吹込む。

技術的なポイント Point

【耐震性】
・2階直下(南側と西側)に柱が不足していたため、追加して新設。間取り変更にともない柱を撤去した部分は、補強梁で補強。

【断熱・気密、省エネルギー】
・断熱・気密性の向上により省エネルギーを実現。ルームエアコン2台で家全体を冷暖房(冷房は2階エアコン、暖房は1階エアコンの使い分け。基本的には夏・冬それぞれ1台のみの稼働により家全体を冷暖房)。
・日射取得(南面大開口)、日射遮蔽(軒と下屋、西側開口の絞り)、自然通風の経路確保により省エネルギーを実現。

【プラニング】
・構造補強(南と西側の2階直下に柱・追加)を端緒としたプラニング(減築による引込みテラス舞台と、ピアノスペースのニッチの創出)。
・視線の抜けによる開放性(間仕切り壁をなくす、金属筋交いの使用、欄間をつくり天井を通す、適所に開口をつくる等)。
・家相を考慮。

【空調、設備】
・階間を24h熱交換換気扇のRA(還気)により負圧にすることで、空気の流れをつくり、2階の個室の空調もおこなう。
・カーポート(YKK AP製)の屋根に太陽光発電パネルの設置を想定。

【素材】
・自然素材を多用。
・ピアノの音響を考慮した素材と空間的造形を採用。
・リノベーション前の4寸の床柱(カリン)を加工のうえ、部材をサイズダウンして各所で再生(①畳小上り・床の間の棚の吊り材②玄関目隠し板の支柱③階段手摺)。
・家族総出(夫婦と三人娘)による華のある左官DIY。「これはプロの仕事だから自分に関係ない」という目で見るのでなく、これだったらウチでもつくれそうとか、つくり方の仕組みが見えるとか、当事者意識を持っていただく。

間取り Plan

リノベーション前

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    【1階プラン】
    中廊下の周りに各部屋が仕切られて配置されているという、開放性に乏しいプラン。2階の直下(南側と西側)に柱が不足している。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    【2階プラン】
    1階と同じく、行き止まり感のある中廊下の周りに、各部屋が仕切られて配置されている。

リノベーション後

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    【1階プラン】
    2階直下(南側と西側)に柱を新設。南側の一部を新設柱のラインまで減築してテラスを室内に引込むと同時に、ピアノスペースのニッチを創出した。間仕切りをなくし各所に視線を通すことで開放感をつくった。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    【2階プラン】
    東西に中廊下を端から端まで通し、ピアノの設置を考慮して吹抜けをつくった。視線の抜けによる解放感や採光と同時に、空調と自然風の道ともなる。

  • 「赤塚のリノベーション」 渡り鳥が飛ぶ庭

    【配置図】
    新潟平野を庭として取込む計画。渡り鳥・白鳥が新潟平野を日常的に飛行する風景がある。

物件概要

所在地
新潟市西区山崎
敷地面積
328.83㎡(99.27坪)
延床面積
140.77㎡(42.50坪)
構造
木造在来2階建
既存建築年
1997年(築28年)
改修竣工年月
2024年08月
省エネ基準地域区分
5地域
断熱性能
UA値 改修前1.20w/㎡・K⇒改修後0.34w/㎡・K(改修前の3.5倍に向上)
耐震性能
上部構造評点 改修前0.56 ⇒ 改修後1.80
設計
塩谷 英一

企業紹介

企業名
オーガニックスタジオ新潟株式会社
Webサイト
https://www.organic-studio.jp/
コメント

新潟にとって最適な高気密高断熱住宅をつくる工務店です。
庭と一体の設計による落ち着いた佇まい、開放感ある窓からの風景の取り込み、自然素材を使った人間にとって親しみある空間、日射取得を前向きに取り込む設計や付加断熱仕様による限りなく少ない設備での全館空調。

こうした高い水準の家づくりを当たり前にしたい。住む人の満足を最大化し、新潟の街並みを良くしていきたいと考えています。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。