弊社は、自社で中古住宅を買い取り、建築士・工務店と共に性能向上リノベーションを施したあと、不動産市場で再販する不動産事業者です。
本物件は不動産市場で長期間滞留していた物件で、中古戸建としては売れずに古家付き土地として売られていた物件だったのですが、その理由は、10/1000の建物傾斜があり「瑕疵物件」として扱われていたからです。販売元の不動産仲介会社と協働して建物傾斜の原因を調査・特定、沈下修正工事が可能と判断し、買取再販+長期優良住宅化リノベーションとして事業化したプロジェクトです。
■アンダーピニング工法による沈下修正工事
本物件建物は開発行為による造成工事で築造された擁壁上にあります。地下車庫はボックスカルバートであり、この地下車庫部分は支持されたいたが盛土部分が沈下したことで不同沈下を起こしていました。24箇所を掘削してアンダーピニング工法で支持層まで杭を圧入させて、最大で10/1000あった傾斜を3/1000へと修正しました。
■耐震補強工事
既存の瓦屋根を再利用、基礎配筋ありという条件に基づいて、耐力壁のバランスを考慮しながら耐震補強計画を実施した結果、上部構造評点1.17に向上させました。
■断熱気密工事
床下換気口を塞ぎ、はじめての基礎断熱化工事を行いました。リノベーションで床断熱の場合、不陸や間仕切り部分の処理に手間がかかり、気密施工に労力がかかりすぎていたことが理由です。基礎断熱+屋根断熱にした結果、効果的な気密施工が実現できました。
■長期優良住宅化
増改築の長期優良住宅認定を取得。維持保全計画を作成して物件購入者様へと引き継ぎ、既存住宅の長寿命化を図りました。
■性能値
長期優良住宅認定(増改築)
断熱性能:Ua値0.46 / ηAC値1.6
耐震性能:上部構造評点1.17
気密性能:C値1.0
一次エネルギー消費量:BEI 0.76