伝統文化を継承する築148年古民家リノベーション「東保の家」

モデルハウス・体感施設

耐震+断熱

10,000〜12,000万円

2024年08月

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リノベーション後 After

伝統文化を継承する築148年古民家リノベーション「東保の家」

外観

大胆なアズマダチの大屋根が目を引く堂々たる佇まい。北欧色である山吹色を取り入れました。黒い板張りと白の漆喰の対比が外観を引き締め、自然素材をふんだんに使用したデザインが周囲の風景と調和。伝統の美しさを現代に活かし、住む人に豊かな時間を与えます。

伝統文化を継承する築148年古民家リノベーション「東保の家」

外観(夜)

夜は昼間とはまた違った雰囲気となります。ライトアップされ、重厚感のある古民家が散居村の地に浮かび上がります。夜の散居村は静寂に包まれぐっすりとお休みできることでしょう。

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ワクノウチ(和室)

伝統的な梁と柱が印象的な空間は北欧モダンなインテリアと和の要素が融合したジャパンディスタイル。木の温もりと自然光が調和し、落ち着いた時間を過ごせるよう設計しています。間接照明も施し、まるで高級旅館のような雰囲気に仕上がりました。

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ワクノウチ

元はお客様を迎え入れていた広間の空間。かつての立派なワクノウチや建具もそのまま活かしています。床材は杉の無垢材を使用し、あたたかく落ち着く空間に仕上げました。レ・クリントの照明もうまくマッチし、北欧テイストも取り入れたジャパンディな空間になっています。

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リビング・ダイニング

広々としたリビングには大きな窓から光が差し込み、薪ストーブが暖かで穏やかな雰囲気を演出。カーテンやクロスに北欧柄を取り入れており、見るたびに気持ちが明るくなります。

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玄関吹抜け

迫力のある柱梁がお客様をお出迎えします。リノベーション時に天井を外し、立派な柱梁を見せるために大きな吹抜け空間をつくりました。ワクノウチがあることにより天井高も高く、2階から下をのぞくとさらにその迫力を味わえます。

リノベーション前 Before

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    外観(正面)

    富山県砺波の地特有のアズマダチです。
    アズマダチとは、黒瓦葺きの大きな切妻屋根・妻入りの民家形式。2つの屋根に挟まれた妻側は太い束と梁を格子状に組み、1~3枚の大貫を入れて、木部に漆を塗り壁面は白壁で仕上げています。その縦横の線状を、幅広の破風板が斜めに大きく切り、その大胆な構造美が迫力と大ぶりな調和感を醸し出しています。

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    ワクノウチ(広間)

    ワクノウチとは、富山県に多い広間型民家で、金物を使わず組み上げる架構工法による構造。
    東保の家はかつて住まわれていた方が庄屋さんだったため、特に格式が高く、ワクノウチの部屋が2つあります。太い立派なケヤキの柱梁は訪れたお客様皆を惹き込みます。

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    ワクノウチ隣

    畳の間が続いており、区切っても一体の空間としても使え、かなりの広さがありました。

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    仏間

    仏間も続きの間になっています。かつては家で冠婚葬祭を執り行っていたため、多くの人々を迎え入れるスペースが必要でした。お坊さんの控えの間もありました。

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    ワクノウチ上部の部屋

    ワクノウチの天井高が高いことによって、上部の部屋は天井高が低いのが特徴です。窓からは、散居村ならではの自然美を楽しむことができます。移り変わる四季がとても美しいです。
    かつてはこの部屋でお蚕さんを飼って生活されていたそうです。

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    中2階の渡り廊下

    掃出し窓となっており転落の危険性があったことや、渡り廊下の必要が無くなったことにより、リノベーション時に減築しました。

リノベーション施工中 Process

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    断熱材施工中の様子

    袋入りでないグラスウールを床や壁に隙間なく充填しています。
    長年スウェーデンハウスで培った断熱の知識・経験を活かし、寒暖差がある北陸でも一年を通じて快適に暮らせる空間が実現しました。とても大きい家ですが、少ないエアコンの稼働数でも快適に過ごせるため、スタッフも驚いています。

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    制震ダンパー

    輸入住宅の施工で培った技術を活かしながら、断熱気密を追求、外気の影響を最小限に抑え、四季を通じて快適な生活空間を実現しました。耐震面は時刻歴応答解析を通じて、制震ダンパーを採用。伝統工法に沿った耐震改修を実施しました。

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    大きく曲がった太い梁は、天井高を確保するためという理由もあり、あえて見せるように施工しています。梁は全て上に湾曲するように入っているなど、先人の知恵が随所に現れています。

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    台所を減築した様子

    シロアリに梁まで食べられていました。この場所は、リノベーション前に増築されていたことにより、混構造になってしまっていました。混構造は耐震性が弱まってしまうため、今回減築しています。

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    基礎

    築148年以上の伝統工法の古民家ということもあり、石場建ての基礎でした。今回のリノベーションでは、石だけをコンクリートで固め、石場建てのまま活用しています。石場建てには免震の効果もあります。

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    フレームⅡ

    ダイニング横の掃き出し窓には門型のフレームⅡを入れさせていただきました。開口はウッドデッキにつながります。この部分は減築を行ったため、その分屋根が大きく出ており、洗濯干しやBBQなどができるようになっています。

技術的なポイント Point

設計段階では、構造的に抜ける柱とそうでない柱が実際に解体してみないと分からなかったので、初期プランとの整合性を整えるのに苦労しました。また、古民家は壁・面によって、気密・断熱をどの様に取るか仕様が異なるので、様々に資料を見て正解を模索しながら計画しました。
施工段階では、サッシの構造体を建物の構造体に固定する際に、構造体枠が広かったため大きな構造枠になったり、躯体の傾きがあったりしたため、取付の調整に苦労しました。

間取り Plan

リノベーション前

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    1階平面図

    アズマダチ特有の広間型形式の家であったため、かつては畳の部屋が多く、お客様をお迎えするためのつくりでした。玄関の隣に縁側があり、そこからお客様を迎え入れていたそうです。日当たりのよい場所に畳の間があり、普段家族が生活する場や台所は光が当たりにくい場所にありました。

  • 伝統文化を継承する築148年古民家リノベーション「東保の家」

    1.5階(中二階)平面図

    ワクノウチの天井高が高いことにより、ワクノウチではない部屋の天井との差が生まれます。そのため、中二階が存在しています。

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    2階平面図

    ワクノウチ上部にあたる部屋が2階になります。天井高が低いことが特徴です。高さがあるため、窓からの眺めがとても素晴らしいです。

リノベーション後

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    1階平面図

    南側にLDKが設けられ、明るく光の当たる場所で家族団らんの時間を過ごせるような間取りとなりました。
    リノベーション前に増築されていた台所の部屋などの部分は混構造となり耐震性に劣るため、減築しました。

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    2階平面図(中二階含む)

    中二階に当たる部屋は子供部屋になっています。かつても和室の子供部屋でした。北欧テイストの可愛らしい部屋に生まれ変わりました。
    また、ワクノウチ上部にあたる2階は、主寝室とファミリールームとなりました。どちらの部屋も太くて立派な梁が見えています。

物件概要

所在地
富山県砺波市東保195
敷地面積
1888.64㎡(571.31坪)
延床面積
261.02㎡(78.95坪)
構造
木造伝統工法
既存建築年
1876年(築149年)
改修竣工年月
2024年08月
省エネ基準地域区分
5地域
断熱性能
UA値 改修前3.64w/㎡・K⇒改修後0.41w/㎡・K(改修前の8.88倍に向上)
耐震性能
上部構造評点 改修前0.14 ⇒ 改修後1.0

企業紹介

企業名
株式会社クロダハウス
Webサイト
https://www.kurodahouse-renovation.jp/
コメント

北欧には「親の代で家を建て、子の代でサマーハウス(別荘)を、さらに孫の代ではヨットを。」という言葉があります。
つまり家というものが短期間に消費されず、良質な資産となることで家族がますます豊かになれるということです。
これは北欧における住まいの考え方、暮らしの豊かさの原点というものをとても上手く表現していると思います。
北陸にも世代を超えて住み継ぐ文化を根付かせたい。それこそが私たちクロダハウスが考えるリノベーションの存在意義だと考えています。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。