リノベーション後 After
リノベーション前 Before
リノベーション施工中 Process
技術的なポイント Point
既存住宅改修での「建設性能評価」を取得。柱や梁、既存基礎コンクリートも含めて許容応力度計算。基礎スラブや地中梁も新設し、既存布基礎と立ち上がりを連結しました。
既存改修は「耐震診断」による評価となるため、申請上、新築住宅と同一の評価は不可能ですが、実質新築同等の「許容応力度計算による耐震等級3」と言っても差し支えないレベルに性能向上しています。
また、事前調査で微動探査、基礎コンクリート強度試験、SWS試験も実施。改修前の現況を正しく把握することで、耐震性能をさらに実のあるものにしています。さらに、改修後の微動探査も実施を予定。今後の地震時や、長期的に使用した際の耐震性変化の評価指標としていきます。
温熱においても、充填+付加断熱で「断熱等級7(Ua値0.23)」。壁はネオマフォーム60㎜+45㎜、床は90㎜ 45㎜、天井は既存部分にはグラスウール吹込み488㎜(下屋)と555㎜(大屋根)。増築部分は屋根断熱でネオマフォーム180㎜(60㎜+60㎜+60㎜)です。
なお、当該建物では床断熱を採用。オーナー様からは「基礎断熱での床下エアコン」もご要望をいただいておりましたが、基礎打継ぎ部からのシロアリ侵入の対策、長期的な点検が困難なことが考えられたため、床断熱を提案し、ご了解をいただいています。
床下空間は、基礎の床下換気口が不足していたため、効率的に換気できるよう躯体を段階的にジャッキアップ。基礎パッキンを設置して床下の換気を正常化する作業も行いました。
その他、天井の断熱ラインが異なるため、防湿・気密シートの施工も難しく、電気配線も配線層を確保するなど工夫しました。加えて、すべての窓にAPW430・431を使用し、温熱における弱点をなくしています。
改修前後で気密測定も実施し、改修前C値10.0から、改修後C値0.2まで性能を高めました。なお、気密測定は加圧・減圧の双方で確認し、中間時と完成時の2回実施。共にC値は0.2でした。
長期耐久性の大敵となる「結露」についても、厳しい基準で結露計算を実施。実際に生活されるであろう室内温湿度に照準を当て、一般社団法人未来へつなぐ工務店の会(略称:みらつぐの会)が定める以下条件で計算しています。
【冬】 屋外気温-3°C、相対湿度60%、絶対湿度1.8g/kgに対して屋内室温23°C、相対湿度50%、絶対湿度8.7g/kg
【夏】 屋外気温32°C、相対湿度73%、絶対湿度22g/kgに対して屋内室温23°C、相対湿度50%、絶対湿度8.7g/kg
太陽光利用に関しては、建物屋根を寄棟から切妻へ変更。太陽光発電(4.3kW)を効率よく使える配置としました。屋根のガルバリウム鋼板の色も、反射率を考慮しマットシルバーを採用しています。
北面以外の開口部にはYKK APのアウターシェードを採用し、軒・庇で補い切れない日射を遮蔽します。加えて、南面大開口の外部には落葉樹(紅葉)を植えて冬の日射取得・夏の日射遮蔽の一助としています。
換気は第一種換気(ローヤル電機SE200RS)を採用し、快適な室内環境を実現。エアコンは1Fランドリーに設置した暖房用、2Fホール(吹抜け)に設置した冷房用、それぞれ一台で各季節の家中の空調をまかなえます。
建物の耐久性に資するものとして、土台から棟、屋根まで、全棟ホウ酸による防蟻対策を行ったことが挙げられます。
また、メンテナンス、更新が容易に行えるよう、外壁を耐用年数の長いウッドロングエコ杉板押縁(トルクスビス止め)張りとしたことが挙げられます。将来的に下屋のガルバリウム鋼板屋根の改修(張替え)時期が来ても、必要以上の改修としなくて済むような構成です。
間取り Plan
リノベーション前
リノベーション後
物件概要
企業紹介
- 企業名
- 『みらつぐの会』CAC建築工房 ㈱大藤建設
- Webサイト
- https://cac-kenchiku.com/