T.O.P (性能向上リノベ)

持ち家リノベーション・リフォーム

耐震+断熱

3,500〜3,800万円

2024年08月

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リノベーション後 After

T.O.P (性能向上リノベ)

新装してから、すでに地域の街並みに馴染む木板外壁の住まい。

T.O.P (性能向上リノベ)

家族が集まりやすい、シンプルな配置のLDK。ダイニングと吹抜けの高さのメリハリが空間の広がりを生む。

T.O.P (性能向上リノベ)

増築した一階奥は、将来の主寝室。水回りの近くに配置することで老後の暮らしやすさにも備えている。

T.O.P (性能向上リノベ)

リビングから階段を経て主寝室にもアクセス可能。優しいRは住まい手や設計者の好みが出るところ。

T.O.P (性能向上リノベ)

日射取得も兼ね備えた吹抜け。リビングの窓はAPW430の日射取得型クリアを採用し、遮蔽効果も得られる。

T.O.P (性能向上リノベ)

子ども部屋の壁はエッグペイントでご家族がDIY。「花火が見られる窓を残したい」というご要望に応え、同じ位置に窓を設けている。

リノベーション前 Before

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    瓦屋根、モルタル塗壁の外観。南に面した下屋の縁側は減築して日射取得の向上を図った。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    建物東側で軽量鉄骨の平屋と接続しており、混構造であった。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    無断熱で寒さの厳しい在来の浴室。木部の劣化(腐朽)も進行していた。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    低い温熱環境性能に加え、台所やその他の場所では床の不陸も見られた。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    二間続きの和室+縁側+収納、さらに床の間と、和風住宅に多く見られる間取り。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    生活スタイルに合致せず、また使いづらい間取りで有効利用できていなかった二階居室

リノベーション施工中 Process

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    既存布基礎に地中梁、スラブコンクリートで補強。既存布基礎部はガードアンカーにてHD、アンカーを設置して引抜力にも対応。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    既存部のコンクリート試験に加え、補強部のコンクリートも適切に品質管理。

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    既存垂木(タルキック増し打ち)に12㎜構造用合板にて水平剛性の補強。釘ピッチ、めり込み深さも管理。耐久性向上のため2層屋根へと改修。

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    既存部は吹込み天井断熱、可変防湿シート。小屋の点検を可能にするために点検口廻りを煙突状としネオマフォームで補強。欠損がないように納めた。

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    床付加断熱(90㎜ 45㎜)とし、気密ラインを貫通する既存の柱は背割れ、貫穴も適宜気密処理を施した。

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    お施主様ご家族で塗り壁のDIY(エッグペイント)。一緒につくることで、住まいへの愛着を持っていただく。

技術的なポイント Point

既存住宅改修での「建設性能評価」を取得。柱や梁、既存基礎コンクリートも含めて許容応力度計算。基礎スラブや地中梁も新設し、既存布基礎と立ち上がりを連結しました。
既存改修は「耐震診断」による評価となるため、申請上、新築住宅と同一の評価は不可能ですが、実質新築同等の「許容応力度計算による耐震等級3」と言っても差し支えないレベルに性能向上しています。
また、事前調査で微動探査、基礎コンクリート強度試験、SWS試験も実施。改修前の現況を正しく把握することで、耐震性能をさらに実のあるものにしています。さらに、改修後の微動探査も実施を予定。今後の地震時や、長期的に使用した際の耐震性変化の評価指標としていきます。

温熱においても、充填+付加断熱で「断熱等級7(Ua値0.23)」。壁はネオマフォーム60㎜+45㎜、床は90㎜ 45㎜、天井は既存部分にはグラスウール吹込み488㎜(下屋)と555㎜(大屋根)。増築部分は屋根断熱でネオマフォーム180㎜(60㎜+60㎜+60㎜)です。
なお、当該建物では床断熱を採用。オーナー様からは「基礎断熱での床下エアコン」もご要望をいただいておりましたが、基礎打継ぎ部からのシロアリ侵入の対策、長期的な点検が困難なことが考えられたため、床断熱を提案し、ご了解をいただいています。
床下空間は、基礎の床下換気口が不足していたため、効率的に換気できるよう躯体を段階的にジャッキアップ。基礎パッキンを設置して床下の換気を正常化する作業も行いました。

その他、天井の断熱ラインが異なるため、防湿・気密シートの施工も難しく、電気配線も配線層を確保するなど工夫しました。加えて、すべての窓にAPW430・431を使用し、温熱における弱点をなくしています。
改修前後で気密測定も実施し、改修前C値10.0から、改修後C値0.2まで性能を高めました。なお、気密測定は加圧・減圧の双方で確認し、中間時と完成時の2回実施。共にC値は0.2でした。

長期耐久性の大敵となる「結露」についても、厳しい基準で結露計算を実施。実際に生活されるであろう室内温湿度に照準を当て、一般社団法人未来へつなぐ工務店の会(略称:みらつぐの会)が定める以下条件で計算しています。

【冬】 屋外気温-3°C、相対湿度60%、絶対湿度1.8g/kgに対して屋内室温23°C、相対湿度50%、絶対湿度8.7g/kg
【夏】 屋外気温32°C、相対湿度73%、絶対湿度22g/kgに対して屋内室温23°C、相対湿度50%、絶対湿度8.7g/kg

太陽光利用に関しては、建物屋根を寄棟から切妻へ変更。太陽光発電(4.3kW)を効率よく使える配置としました。屋根のガルバリウム鋼板の色も、反射率を考慮しマットシルバーを採用しています。
北面以外の開口部にはYKK APのアウターシェードを採用し、軒・庇で補い切れない日射を遮蔽します。加えて、南面大開口の外部には落葉樹(紅葉)を植えて冬の日射取得・夏の日射遮蔽の一助としています。

換気は第一種換気(ローヤル電機SE200RS)を採用し、快適な室内環境を実現。エアコンは1Fランドリーに設置した暖房用、2Fホール(吹抜け)に設置した冷房用、それぞれ一台で各季節の家中の空調をまかなえます。

建物の耐久性に資するものとして、土台から棟、屋根まで、全棟ホウ酸による防蟻対策を行ったことが挙げられます。
また、メンテナンス、更新が容易に行えるよう、外壁を耐用年数の長いウッドロングエコ杉板押縁(トルクスビス止め)張りとしたことが挙げられます。将来的に下屋のガルバリウム鋼板屋根の改修(張替え)時期が来ても、必要以上の改修としなくて済むような構成です。

間取り Plan

リノベーション前

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    冬寒く、夏暑い、昔ながらの日本家屋スタイル。

リノベーション後

  • T.O.P (性能向上リノベ)

    長期的、世代を超えて住まわれるよう、減築も含めて大規模改修を行なった。

物件概要

所在地
静岡県静岡市
敷地面積
220.42㎡(66.79坪)
延床面積
101.09㎡(30.51坪)
構造
木造在来2階建
既存建築年
1983年(築42年)
改修竣工年月
2024年08月
省エネ基準地域区分
7地域
断熱性能
UA値 改修前2.25w/㎡・K⇒改修後0.23w/㎡・K(改修前の9.7倍に向上)
耐震性能
上部構造評点 改修前0.21 ⇒ 改修後1.55

企業紹介

企業名
『みらつぐの会』CAC建築工房 ㈱大藤建設
Webサイト
https://cac-kenchiku.com/

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。