【コンセプト】
大阪市内に建つ若い夫婦のためのリノベーション住宅。周辺建物が次々と建替え進む中、本建物は時が止まったかのように空き家のまま放置されていた。本プロジェクトでは、建て替え困難な住宅密集地に残された築86年の空き家を改修し、古い木造建物を機能的かつ快適な住まいとして現代に継承することを目指した。開放的な耐震改修、付加断熱・高気密化などの性能向上改修を行い、歴史を現在および未来に継承し、リノベーションならではの無垢でシンプルな美しい住まいを実現した。
【施主様ご要望】
築86年の建物の味わいや魅力を活かしつつ、都市部でも明るく落ち着きのある住まいにしたいという要望があった。また、耐震性や居住性、省エネルギー性を重視し、環境にも配慮した住まいを望まれていた。
【プラン決定のポイントと工夫】
道路につながる細い通路を室内まで引き込み、開口部を光土間に設けることで、建物密集地でも採光・通風・プライバシーを確保し、洞窟のような落ち着きある空間を実現となった。また、金属筋交いによる開放的な耐力壁を採用し、吹抜けを介してゆるやかに繋がる一体空間を創出した。さらに、光土間上部の吹抜けと大きな開口部を設けることで建物奥深くまで自然光を取り込み、土間床には小割の御影石(サビ)を敷き、石の自然な質感を感じる内部空間を実現した。
【性能・施工内容】
既存の土壁を残しつつ外壁に高性能断熱材を付加することで、木造建物の気密性と断熱性を改善し、真壁造りの意匠を継承した。また、真壁内側を木毛セメント板で仕上げることで、吸音、遮音、調湿、蓄熱効果を高め、省エネルギーで快適な空間を実現した。
【施主様のご感想】
「築年数を感じさせない現代的な空間で、自然光を取り込む光土間や素材そのものの風合いが豊かな室内は、エコに配慮しつつも快適で、長く愛着を持てる住まいに生まれ変わった」と満足の声を頂いています。