特別賞

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

中古物件購入+リノベーション

断熱

1,400〜1,800万円

2023年11月

  • 断熱

    等級5

高齢者一人暮らしだった空き家を買い取り、断熱性能UA値をゼロエネルギー住宅(ZEH)水準へ改修致しました。高齢者住宅の平屋の様な間取りを子育て世帯用の間取りへ改修致しました。また新築よりもコストがかかってしまうと、リノベ住宅の魅力が半減してしまいますので、未だ使えるモノは再利用し工事費総額は1400万円~1800万円(税・解体費込)以内で抑えました。今後の空き家対策、低炭素化社会へ向けての新たな住宅取得の手段としての提案として位置づけたいと考えてのプロジェクトです。また比較的浅い築年数という事もあり、中途半端な気密住宅のデメリット面(壁内結露・カビ・換気計画の不順)が露見でき 気密性もしっかりと改善し、通気層と気密層をしっかりと区画割りし、それぞれが独立機能する様に計画しました。

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リノベーション後 After

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

既存建物では、階段があり狭かった玄関ホールに、階段を移動させる事により 玄関クロークを設け 自転車なども収納できる様に収納力を大幅に向上させました。また基礎断熱仕様とする事で室内空間と同じ温度差のない玄関ホール空間へ改修しました。

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

LKD 断熱改修と共に床暖房を施工し 冬でも暖かい空間へと改修しました。長戸からは屋根付きのYKK製リウッドデッキテラスへと繋がります。

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

LDK→和室へと続く奥行きあるリビング空間です。和室側へリビングのTVボードをあえてオーバーハングさせる事により和室とリビングの間仕切り感を曖昧に演出させました。和室の無垢羽目板張りの天井もLDK側へオーバーハングさせる事で同じく間仕切り感を曖昧にしました。相反するようにダイニング空間は吹き抜けとし鉛直方向へ高さを演出する事で ダイニング空間にはメリハリを付け間仕切り壁こそ無いが空間的に間仕切り感を感じさせる様に工夫しました。

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

住み始めて 床暖房もある事により食事をリビングの床に座り込んで食事をする事になり、ダイニングテーブルが荷物置きになってしまっている家庭が多いみたいです。そうならない様にメリハリのある空間作りの為に吹き抜けに石を張り間接照明で照らしました。レストランに来たかのような空間とし、食事の際には家族が集まりたくなる様な空間に仕上げました。

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

一階にあった寝室はそのまま利用させて頂きました。照明器具の輝度を暗めのアクセントクロスに当てて光量を吸収させつつ反射させ 室内全体のアンビエントを落し気味にし、寝るための空間としました。暗めの部屋でも建具開閉に支障が無い様にYKK製のラフォレスタ(プレーンホワイト色)明るめの白色を採用する事で開閉に関するタスク向上も考慮しました。

空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

外観 空き家 手付かずの状態で庭に生い茂った樹木たちもスッキリとさせ駐車場へ。これで落ち葉・溝掃除などの件で近隣住民さんへ ご迷惑をおかけする心配も無くなりました。外壁は、すべてやり直ししスタッコ吹付仕上げとし 年齢を重ねても飽きのこない和風な外観へと仕上げさせて頂きました。

リノベーション前 Before

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存外観 空き家のまま放置だった為手つかずの植栽が隣家・道路にはみ出して近隣住民へご迷惑をおかけしている状況でした。また外壁材のコーキングは完全に機能を失っており 窓廻り等は、防水シートのみで雨風を防いてる状況でした、また外壁材裏面には 苔がびっしりと生えており常時内部結露を起こしている状態が続いていました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存玄関ホール 基礎断熱仕様では無いため居室との温度差がとても大きく寒い空間でした。手摺・敷台などバリヤフリー改修が施された形跡もあり デザイン的に若者好みという空間ではありませんでした。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存LDK空間 一見綺麗に見えますが、床鳴りが酷く コンセント等各所からの隙間風もあり気密性の無さが感じられました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存キッチン空間 濃い原色(赤)の天袋収納で囲まれた閉塞感の感じる空間でした。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存LDK併設のサンルーム 湿気があり内装材にもカビが発生しておりました。気密性の悪さから換気計画が上手に行われていない状況が確認できました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    既存小屋裏空間 既存にはすべて断熱材ミラフォーム50mmが使われておりました。年数が経った天窓からは雨漏れの形跡がありました。

リノベーション施工中 Process

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    床面改修 既存のミラフォームをそのまま利用し、ネオマフォーム20mmを付加断熱し気密テープにて気密処理を施しました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    床面改修 断熱材と土台・根太間を気密テープで処理しましたが、さらに合板の上からも気密テープ処理を施しました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    壁面改修 既存のミラフォームをそのままの残し 壁:ネオマフォーム20mm 天井:30mmを付加断熱しました。また窓廻りにはAPW330を組み気密テープ+ウレタン処理で気密処理も施しました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    コスト削減の為 外壁下地をそのまま利用しましたので、室外側からの気密処理が出来ませんでしたので、手間はかかりましたが柱・間柱間の気密処理は 室内側からコーキングで処理しました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    壁と床(水平面)と断熱区画の取り合い部分には ウレタン処理にて気密処理を施しました。

間取り Plan

リノベーション前

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    空き家になった高齢者一人暮らしの住宅でしたので、平屋+αの様な間取りで、1階に寝室があり2階には来客用(たまに県外から帰省する親族用)に1部屋のみでトイレもありませんでした。子育て世代が住むには子供部屋が足りなかったり 様々な不満点がありました。また空き家で手つかずの庭には樹木が生い茂り、近隣住民の方々へ落ち葉、側溝の詰まり、虫の問題 なども抱えておりました。このままでは市場価値が薄く、早急に建物としてのトータル資産価値を上げて 再度 人が住みたいと思って頂ける建物へと改修する必要性を感じました。

リノベーション後

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    【改修後 平面図】階段があった場所を 玄関クロークへと改修し収納を増やしました。大幅な増築をする事無く2階に子供部屋2部屋とトイレを設ける為に 階段をリビング階段へ。その為に既存の小屋裏空間を現しにし開放感のある空間を実現しながら2階へアプローチできる様にしました。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    【立面図】雨漏れが見受けられた天窓は無くしました。窓は、APW330へ。

  • 空き家をZEH水準の住宅へ性能向上フルリノベーション

    【断熱改修 矩計図】 既存の断熱材ミラフォーム50mmをそのまま利用しつつ、透湿抵抗値・断熱性能の高いネオマフォームで付加断熱を施しました。

物件概要

所在地
富山県 富山市 婦中町 宮ケ島177-9
敷地面積
236.83㎡(71.55坪)
延床面積
125.24㎡(37.88坪)
構造
木造在来軸組工法 2階建
既存建築年
30年(築1994年)
改修竣工年月
2023年11月
省エネ基準地域区分
5地域
断熱性能
UA値:改修前0.9w/㎡・K ⇒ 改修後0.59w/㎡・K(改修前の1.5倍に向上)

企業紹介

企業名
株式会社 共栄ホームズ

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。