【家を持つ】
お客様によってこの意味はお客様の数だけ答えがあると思っています。

コスト、意匠性、性能、将来性、お客様のこれからの人生を様々な方向から想像し、一緒に悩み、最善の答えを無数の中から探す、プロだからこそなにかに特化してご提案するだけではなく、全体的なバランスを見ながら様々な知識を元にお客様のこれからの方向性を一緒に見つける【コンシェルジュ】のような役割が非常に求めれている世の中と感じております。

お客様は北海道札幌市に建つ中古住宅を購入し、自分たち仕様にリノベーションしたお家をご希望されました。
札幌市は現在、資材や原油の高騰に合わせて、土地、建物の単価の上昇が続いており、総予算の半分近くが土地建物の購入費用に
なってしまうケースが多々ある状況です。

そういった状況の中でなにがそのご家族にとって一番の答えかをお客様の目線に立って一緒に考えていきました。

タイミング良く［次世代省エネ建材の実証支援事業］の補助金制度の募集があったことから、
この補助金制度を活用しながら断熱性能の向上を行いました。

耐震については既存の状態による耐震診断を行い、足りていない箇所を重点に補強を行いましたが、
コストとのバランスを考えたときに大部分については再利用することをお客様と一緒に決めていきました。
その他再利用したか理由はいくつかありますが、決め手となったのは「決して新しいものがほしい訳では無い」というお客様との会話から出た言葉があったからです。時を重ねることでしか表すことのできないその家が持つ「空気感」というものを最大限活かすことがリノベーションならではと考え、1階の天井についても可能な限り現しとしました。

断熱材の種類や厚み、構造補強の為の金物や合板など、良くしていこうと思えばこれらを採用することでクリアしていくことは可能です。ただ、そのあたりがクリアになったからお客様も満足、ということではないと思っています。

古いものを替え新しく、また性能を全てにおいて上位を目指すことが良いリノベーションではなく、敢えて新しくしない、数値化できない部分も同じくらい大切な要素として捉えお客様目線に立って一緒に悩み考えてくれる、そんなリノベーションの形もあるのでないかと思い、一緒に作らせていただいたお家です。