選考委員賞

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

モデルハウス・体感施設

耐震+断熱

2,891万円

2023年01月

  • 断熱

    等級6

  • 耐震

    上部構造評点2.09

岐阜県で最も面積小さい北方町は昭和40年代から人口が急増し、人口とともに再構築された住宅は現在ストック化が進んでいる。空き家であった当物件をリノベーションという手法で住宅ストックを活用しつつ、住み続けたくなる豊かな住まいをつくる提案をした。
改修前の半年にわたる湿度調査では基礎下は常に湿った状態でカビ臭く、脱衣室は湿度が68%を超える日が大半であった。五感で感じる不快感を、基礎部分を含めた性能向上リノベーションと自然素材の利用によって解決を図った。また現在、建築業界においてリノベーションを扱える知識と技術を持った職人の育成が急務だと感じている。率先して情報を公開し、技術を伝承する地域のモデルとなることで、住宅ストックの価値向上や、知識、技術不足に起因する施工不良で悲しむ依頼者の減少に寄与したい。
この建物は、無筋基礎を改修し、地震力を地面に適切に流すと共に、建物全体の剛性バランスを確保し上部構造評点は1.5を大きく上回る2.09を実現した。断熱性能の向上については、屋根と壁に調湿効果のあるデコスファイバーを採用し、基礎と土間下にも断熱を施し、ダイレクトゲインとUA値4.1を両立させた。気密施工にも取り組みC値1.1を実現した。地元の木材や岐阜漆喰とデコスドライ工法の組み合わせで、心地よく調湿された住環境となった。
YKKAPの協力の元、現場施工中に耐震、断熱、基礎改修の現物を公開し、工務店や職人へ、完成後も定期的に見学会を行い、累計61社132人にシェアをし、技術・販促方法を伝えリノベーションリテラシーを高めることに努めた。
この建物は、お客様にリノベーションという選択肢を知ってもらう再販型モデルハウスでありながら、工務店や職人への技術を広げるモデルともなっている。

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リノベーション後 After

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

瓦屋根は軽量瓦で葺き既存瓦よりも地震に有利にしている。南面にも駐車スペースを設け、車社会で暮らしやすくなった。

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

玄関から直接土間リビングに入り、土間リビング内には、ペレットストーブを設置している。

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

タイルの下部に断熱層を施工し冬は大開口からの日射を蓄熱し、さやしい暖かさをリビング空間にもたらしてくれる。

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

寝室となる和室には腰高の開口を設け、北側の坪庭を眺められ、南面の部屋のみでなく、外の自然とつながるようになっている。

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

造作テレビボードで長良杉などの岐阜県産材を使用している。

61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

リビング・ダイニングと同じ空間に移動したキッチンは明るくなり、家族の集まる空間で作業ができるようになった。

リノベーション前 Before

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    ブロック塀で囲まれた南の庭は植木が育ち、日が入りづらくなっていた。駐車場は北側1台分のスペースしかない敷地であった。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    北側にあり、暗くなりやすく、湿気がこもっていたキッチン。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    タイル張りのトイレ。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    南に一部屋挟んだ和室は光が届かず暗い部屋となっていた。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    タイル張りで断熱のない在来風呂。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    玄関入ってすぐの廊下は採光が無く、暗くなっている。

リノベーション施工中 Process

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    無筋であった既存の基礎に鉄筋を差し込み添え基礎の施工をしている。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    同業者、職人へ向けて当物件で取り組んでいる施工耐震補強や、断熱施工、気密施工についての情報共有をしている。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    隙間を探しながら、隅まで気密テープを張り気密施工している。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    土間リビングの大開口部はフレームⅡの門型フレームを使用し、開口部でありながら壁基準体力1.63を確保することができている。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    気密施工前と後で2回の気密測定を実施し、C値1.1を実現した。

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    ぎふ漆喰と湯布珪藻土の塗壁の内装仕上げであり、自然素材にこだわったリノベーション。

間取り Plan

リノベーション前

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    東西方向に部屋が並び、それぞれの部屋は行き来しづらい間取りであった。
    水回りは北に集まり、暗く冷えやすい場所となっていた。

リノベーション後

  • 61社153人とシェアした性能向上モデルハウス

    家族同士のつながりやコミュニケーションを意識した計画である。明るい南面に家族の集まる空間を広く設け、寝室も引き分けにすることで、より広く部屋を使用することができるようになった。

物件概要

所在地
岐阜県本巣郡北方町
敷地面積
268.12㎡(81.11坪)
延床面積
98.92㎡(29.92坪)
構造
木造軸組工法
既存建築年
1964年(築60年)
改修竣工年月
2023年01月
省エネ基準地域区分
6地域
断熱性能
UA値:改修前3.39w/㎡・K ⇒ 改修後0.44w/㎡・K(改修前の7倍に向上)
耐震性能
上部構造評点:改修前0.61 ⇒ 改修後2.09
設計
山崎明

企業紹介

企業名
株式会社 WOODYYLIFE
Webサイト
https://woodylife.jp/

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。