特別賞

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

持ち家リノベーション・リフォーム

耐震+断熱

2,500〜3,000万円

2023年07月

  • 断熱

    等級6

  • 耐震

    上部構造評点1.55

【施主様ご要望】

 空き家状態になっている祖父母の家を受け継ぐので、とりあえずキッチン周りを中心にリフォームしたいとのご依頼でした。その後、現地で打合せしていく中で、冬場の打合せだったこともあり、築60年くらいで、今まで所々リフォームをしていたが、冬場は寒くてしょうがなく、屋根や外壁が傷んでいて雨漏りもするとの事でした。
 家の構造は、南側に大きな開口部があり、二間続きの和室がある郊外型の農家型の大きい住宅です。
耐力壁も少ないと感じていたので、これからお若いご夫婦が何十年も住むことを踏まえて、「耐震性・断熱性向上のリノベーションはいかがですか?」と、ご提案し、お施主様の同意をいただいて、ほぼフルリノベーションすることになりました。
 具体的なご要望は、「冬場が特に寒いので、断熱性能を高めてほしい」、「階段が急なので、できるだけ楽に昇れるようにしてほしい」、「居間やキッチンが建具や壁で仕切られているので、広くしてほしい」、「収納を多くしてほしい」などです。


【性能・施工内容】

リノベーション前は、窓はアルミサッシで、壁や天井、床には、ほぼ断熱材は入っていませんでした。 今回は耐震補強も重要だったので、1階と2階の柱の直下率を向上させ、耐力壁も増やしました。特に1階の二間続きの和室の周辺は、柱と襖の建具だけで耐震性が悪かったので、間取りを変更して耐震補強しました。
屋根断熱で通気層を設けてアイシネンを180mm吹き付け、壁にはグラスウール(アクリアウールα105mm)、 床はネオマフォーム45mm(LDKその他の部分は大引の間に90mm)を施工しました。 窓は、予算を考慮して、掃き出し窓はアルミ複0樹脂窓(Low-Eガラス)、その他の横すべり出し窓、 縦すべり出し窓は樹脂窓(トリプルガラス)を採用しました。 外皮平均熱貫流率 Ua値は0.46[W/㎡K]です。気密性能は、気密測定をし、C値は1.0c㎡/㎡になり気密性能が大幅に向上しました。 南面の開口部には大きな掃き出し窓を設置して、冬場の太陽光を取り込めるようにし、縦すべり窓は、ウィンドーキャッチャーの役目を果たすべく設置しています。


【自社施工物件の特徴・地域性】

 弊社のある埼玉県比企郡鳩山町は、夏場の気温は40℃近くになり、その日の最高気温が日本で一番暑くなる日もある非常に暑い地域です。 冬場もそれなりに寒く、1年を通しての寒暖差があります。 夏場は熱中症の危険性、冬場はヒートショックの危険性があり、健康を維持していく上で、住宅が果たす役割は高いと感じています。 間取りやプランニングでは、自然の光や風を取り入れたり遮ったりコントロールすることを念頭にプランニングしています。 また、その他の省エネの観点から  二酸化炭素削減に取り組むために、所有している地場山林の木材や、近い山の埼玉県産木材を積極的に採用しています。自社工場で製材、加工した木材を注文住宅・リノベーションなどに活用しています。


【プラン決定のポイントと工夫】

 コンセプトは、「耐震性・断熱性を向上させ、1階部分で生活が完結する、家事がしやすい空間」
工夫は、
①耐震性の向上。
南側の和室の前には縁側があり、耐力壁も少なかったので縁側部分は減築し、2階の耐力壁と1階の耐力壁が重なるように耐力壁を増設。
②間取りの変更
キッチンと居間部分は、東側に向いていた壁付けのI型キッチンを対面式に変更し、居間とキッチンをつなげてLDKとして間取りを変更。
③階段の変更
階段は直階段から折れ階段に段数を増やし、昇り降りしやすいように変更。
④収納の確保
納戸や収納庫、キッチン横の可動棚、、パントリーなど収納スペースを増やし家事がしやすいように設置。
⑤トイレ横の洗面スペースの明るさを確保するために室内窓を設置して採光を確保した。
⑥建具・造作棚などは、お客様のご希望のメープル調に揃えて空間に統一感を持たせている。


【施主様ご感想】

 前の家では暑さ寒さに弱く、住むのに困っていたのですが、リフォームで断熱材を隙間なく入れて頂き、まるで新築かのような快適な居住空間ができました。
こちらの難しい要望にも細かく対応して頂き、おかげで満足いく家になりました。
この家で育った叔母も、新しくよみがえり住み継いでもらえるのでありがたいとの事です。

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リノベーション後 After

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

リノベーション後 LDK



祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

リノベーション後 LDK

建具や壁を撤去したことで、奥行のある空間になりました。
南側は母屋下がりなので、一部の天井は勾配天井です。

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

リノベーション後 玄関ホール・和室

玄関ホールの階段は、床材のハードメープルに合わせ、ハードメープル集成材で急な階段を昇りやすく改修しました。

2間続きの和室を寝室と和室に区切って、耐力壁で耐震補強しています。
和室と玄関ホールにあった段差も解消しています。

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

リノベーション後 キッチン

建具で仕切られていた、居間やキッチンは壁を撤去して1つの空間に繋げました。キッチンは、壁付けのI型から対面式に変更して家族の会話が増えるようにしました。

写真の右側には、パントリーや収納スペースを新たに設けました。収納棚の反対側は、トイレのある洗面スペースで、採光を確保するために室内窓を上部に設置しました。

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

左上:LDK南側 右上:キッチン東側 左下:キッチンからダイニング
右下:寝室

対面式のキッチンに変更したので、キッチンから前庭の様子が見えます。

祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

左上:トイレ 右上:トイレ横洗面スペース 左下:和室 右下:和室

トイレやベッセル式の洗面器に交換しました。

リノベーション前 Before

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    南側外観 改修前

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    居間 改修前

    建具で一つの部屋が小さく仕切られています。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    玄関ホール 改修前
    和室は二間続きで、建具で仕切られているので、ほとんど壁がない状態。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    キッチン 改修前
    キッチンを対面式に変更します。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    左上:LDK南側 右上:キッチン東側 左下:キッチンからダイニング
    右下:旧和室

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    左上:トイレ 右上:トイレ横洗面スペース 左下:和室 右下:和室から玄関ホール

    階段は勾配が急で、昇り降りが大変でした。

リノベーション施工中 Process

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    構造の補強。新規の土台と柱は自社工場で製材した埼玉県産の西川材のヒノキです。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    耐力壁を設けて、耐震性能を向上させました。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    屋根の通気層を確保するために、屋根に断熱材を吹き付ける前に、ルーフスペーサーを施工しています。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    壁にはグラスウール(アクリアウールα 105mm)の断熱材を施工しています。コンセントは、コンセントカバーで気密性を確保しています。
    気密測定をしてC値は1.0c㎡/㎡です。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    床断熱施工:床の一部は根太間にネオマフォーム45mm+大引間にネオマフォーム90mmを施工しています。

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    壁下地はホルムアルデヒド吸着効果のあるハイクリンボードを標準で施工しています。
    造作材は製材したヒノキ材です。

間取り Plan

リノベーション前

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    1階の南側の開口部が大きく開いていたので、構造的に南側が弱点でした。

リノベーション後

  • 祖父母から受け継いだ、父の実家をリノベーション

    間取りを大幅に変更して、耐力壁を増設しています。
    凸凹の平面だったので、減築して、南側の壁面線を揃え、1階と2階の柱と壁の直下率を上げました。

物件概要

所在地
比企郡鳩山町
敷地面積
988.29㎡(299.48坪)
延床面積
141.19㎡(47.78坪)
構造
木造在来2階建て
既存建築年
1970年(築54年)
改修竣工年月
2023年07月
省エネ基準地域区分
5地域
断熱性能
UA値:改修前2.63w/㎡・K ⇒ 改修後0.46w/㎡・K(改修前の5.7倍に向上)
耐震性能
上部構造評点:改修前0.41 ⇒ 改修後1.55

企業紹介

企業名
有限会社共和木材
Webサイト
https://www.kyowamokuzai.jp/
コメント

お客様のそれぞれの暮らし方に合わせたリノベーションをご提案します。
材木屋の強みを生かして、木材の温かみのある空間づくりが得意です。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。