2022年 エントリー作品

選考委員賞

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

持ち家リノベーション・リフォーム

耐震+断熱

3,000〜4,000万円

2022年01月

奈良市内にある古い住宅。敷地内には色々な年代の建物が濡れ縁や中庭を介して連なっています。その中で一番古くて大きな納屋を、快適な生活が送れる住まいへ改修する計画です。納屋は元々材木倉庫として建てられたため半分が大きな吹き抜けとなっていて、大部分が吹きさらしの状態でした。劣化して柱梁から剥離した大量の土壁を全て落とし、蟻害・腐朽を受けた柱梁を補強・交換、断熱補強を行った上で、吹き抜けを大きなLDKに転用、その周りに来客用の和室、寝室、水廻り、収納、猫の部屋を整備しました。

投票数

22 23

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リノベーション後 After

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

吹抜けをそのまま利用した大きなLDK。冬場は薪ストーブで空間全体を暖めつつ、シーリングファンで空気を拡散。タイル貼りの床には温水床暖房を敷設しています。

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

キッチンからリビング見返し。鉄骨階段を新設して、吹き抜けLDKを生活の中心に据えたプランニングを行いました。正面奥は猫の部屋。

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

2階の東西に新たに設けた連窓を風が通り抜け、一日を通して柔らかな光が入ります。黒光りする既存柱梁は工事に際して施主様が丁寧に磨き上げました。

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

2階寝室。屋根勾配に合わせた高い天井。床はナラフローリング。壁は珪藻土。天井は吉野杉。

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

元々あった和室を一度解体。断熱・耐震補強、床暖房、ビルトインエアコンなど性能面をアップデイトして組み直しました。中庭は濡れ縁を挟んで母屋につながります。

きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

母屋より見た全景。外壁は杉板鎧貼り。傷みの激しかった下屋は瓦屋根を葺き替え、樋を整備しました。

リノベーション前 Before

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    中庭を挟んだ母屋から見る。

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    大きな吹抜け見上げ。2階は小さな窓しかない。

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    牛舎として使われていた痕跡。

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    2階から吹抜け見下ろし。

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    大きな丸太梁が組み合った架構。

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    昭和期に納屋の一部をリフォームしてつくられた和室。

リノベーション施工中 Process

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    解体中の様子。市街地で大量の土壁を落とすため厳重な仮囲い。

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    解体中の内部。

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    構造補強の様子。

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    壁断熱工事の様子。

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    屋根断熱工事の様子。

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    アルミサッシ工事の様子。

間取り Plan

リノベーション前

  • きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

    1階平面図

  • きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

    2階平面図

  • きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

    断面図

リノベーション後

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    1階平面図

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    2階平面図

  • きたまちの家|大きな吹き抜けのある納屋を快適な住まいに。

    断面図

物件概要

所在地
奈良市
敷地面積
231.67㎡(70.08坪)
延床面積
189.15㎡(57.22坪)
構造
木造2階建
既存建築年
1900年(築124年)
改修竣工年月
2022年01月
断熱性能
UA値:改修前4.39w/㎡・K ⇒ 改修後0.56w/㎡・K(改修前の7.8倍に向上)
耐震性能
上部構造評点:改修前0.18 ⇒ 改修後1.09

企業紹介

企業名
山本嘉寛建築設計事務所
Webサイト
https://yyaa.jp/
コメント

大阪・奈良・京都を中心に活動する建築設計事務所/建築家です。新築注文住宅、町家改修、古民家再生、古ビル一棟リノベーション等、用途や規模に関わらず間取りと素材を大切に過不足の無いデザインを心掛け、1つ1つ丁寧に設計しています。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。