10年以上空家だった木造住宅の一部をリノベーションした会員制のコワーキングスペース「CONCE（コンセ）」。外壁はいじらず、内部倉庫部分にコワーキングスペースを作り、その周りを回廊として半屋外スペースにした“ワーキングスペースと回廊が一体となる施設”。

半屋外スペースの回廊は、利用者が入退出する際気分を切り替えるための通路とした。古い梁や柱に合わせてコワーキングスペースの外壁を古色塗装し裸電球を取り付け、内部とは違う別空間の雰囲気に仕上げた。
半屋外スペースは、冬は外気との緩衝ゾーンであり、夏は直射日光を避けることができる。
天候に左右されることなく工事できる利点もある。
「CONCE」のある西和賀町は豪雪地帯で、冬の自然環境がとても厳しい地域であるため、内部の性能はUa値を0.24w/㎡・KでHEAT20のG2グレードを実現、窓もトリプルサッシにし豪雪地帯の断熱基準をクリア。年間を通じて利用者が快適に過ごせる空間にした。内部の仕上げには木毛セメント板を使用。断熱材が防音、木毛セメント板が吸音機能の役割を果たしているので外部の喧騒も気にすることなくデスクワークができるようになっている。

地方の過疎化に伴っている職人不足問題にも取り組み、工事に大工を入れず施主や近所の仲間たちという素人だけで作業した。断熱の施工や内部の納まり、作業工程の工夫等、試行錯誤しながらの工事だった。初めての取り組みで難航したが、新しい試みとして施主や地域の人々を巻き込んだ面白い建築がこれからできるのではないかと感じた。