築30年の戸建て住宅をスケルトン・インフィルにて改修したプロジェクトである。予め現行法への適合と耐震・断熱改修の計画を立て、スケルトン状態で販売をし、暮らし方に合わせてインフィル計画を住まい手とともに考えた。建物の基本性能と遵法性を確保した上で顧客の自由設計ニーズを実現する、新たな中古住宅流通へのチャレンジである。
【改修のポイント】
1.違法性のある建物の適法化と、建築確認申請及び検査済証の再取得、長期優良住宅認定による流通価値の向上
2.断熱性能、耐震性能のレベルを現行基準まで引き上げることによる、住まい手の安心感と快適性の向上
3.遵法性と基本性能を計画したスケルトンで販売し、内装設計と仕様選定を施主と共に行う住まいづくりフロー
【プロセス・成果】
本件の施主は、戸建てマンションに関わらず、中古住宅を購入して自らの希望を反映したリノベーションをすることを前提に物件探しをしていた。しかし希望条件に合った物件が少ないことや不動産価格の高騰から物件探しに苦戦。さらに、既存状態からリノベーションの内装イメージをする難しさも抱えていた。そこで希望エリア内にある、建物調査とリノベーション計画が完了したリビタ所有の中古戸建てをスケルトン状態で案内。立案済みの改修計画に、自身の希望工事を織り込めることが確認できたため購入判断に至った。新築や改修済みの物件では物足りないという声もあるが、中古戸建てにおける自由設計では法適合をすることや既存内装の解体前に工事費を見立てることは難易度が高い。本件では、事業者が予め遵法性確保と基本性能向上の計画を立案し工事費全体を把握。そのうえで施主の追加設計の希望を叶えることで、戸建てリノベーションにおける課題を解決を試みた。