2022年 エントリー作品

特別賞

縁 -えにし-

中古物件購入+リノベーション

ゾーン断熱

1,000〜1,500万円

2022年09月

近年、日本では空き家の増加が深刻な問題になってきており、
リノベーションによって付加価値を加えて新たに再生させる考え方が重要視され、徐々に世間へ浸透しつつある。
本計画の概要は上記の課題に対してリノベーションの可能性を追求し、上質な意匠性と高い居住性を両立させるためには
新たな試みに挑戦しなければならないと考えた。
そこで、パッシブデザインという設計手法を用いて木造軸組工法の空き家住宅に対してアプローチした。
具体的には、日照シュミレーションを実施し根拠に基づいた太陽光の操作をおこなった。
その結果、南に面しているファサードに大きな開口を設けて、吹き抜けを介して内部へ光を誘う。
そうすることでリビングとエントランス(内部縁側)に一筋の光が差し込み、自然エネルギーが感じられるような空間とした。(陽の間)
そのエネルギーも余すことなく利用するため、熱容量計算をかけた。
蓄熱体を設けることで、室内温度を安定させた。
それとは対比させてキッチン、バックヤードは少し薄暗くしっとりとした空間とした。(陰の間)
陰と陽の関係性を表現できる味わい深い素材、ジョリパッド「水墨(淡色)」を内壁に採用した。
外光のうつろいによって空間に陰翳の濃淡が生まれ、静謐さの宿る日本の心地よい美を目指した。

投票数

26 27

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リノベーション後 After

縁 -えにし-

外観
狭かったカーポートはエントランスから眺められる庭へと変貌させた。
内部には吹き抜け空間があり、太陽光を取り込むために2階に大開口を
設けて既存のベランダは撤去した。
シンプルで和モダンなファサードとした。

縁 -えにし-

エントランス入ってすぐ目の前に飛び込んでくるのは、縁側。
玄関に縁側が混在する違和感のある空間とした。
そうすることで、訪れた人に興味や期待感を与えることが出来る。
上部は吹き抜けになっていて、開放感と太陽光を内部へと誘う。

縁 -えにし-

リビング
縁側はリビングの役割も担っている。
狭小住宅街でも空や植物といった自然に触れながら過ごすことが出来る。

縁 -えにし-

キッチン・ダイニング
階段下のスタディスペースは入口を傾斜にすることで意匠性と程よい籠り感を演出した。
縁側に引き続き、ここにも違和感を与えた。
違和感とは、ダイニングテーブルを片持ち構造とした。
浮遊感が空間のアクセントになっている。

縁 -えにし-

スタディスペース
造作ベンチは床の間としても利用することが出来る。

リノベーション前 Before

  • 縁 -えにし-

    外観
    狭いカーポートが玄関前にあることで窮屈さを感じる。

  • 縁 -えにし-

    玄関
    化粧べニアの板張り模様仕上げがアクセントになってはいるが、
    どこか野暮ったさがある。

  • 縁 -えにし-

    和室
    空気が滞留しており、湿気が籠った昔ながらの和室。

  • 縁 -えにし-

    台所・食堂
    壁付けキッチン。後付けのカセットコンロ仕様。

リノベーション施工中 Process

  • 縁 -えにし-

    解体中の様子。

  • 縁 -えにし-

    断熱工事の様子。

  • 縁 -えにし-

    ボード張り工事の様子。

間取り Plan

リノベーション前

  • 縁 -えにし-

    1階平面図

リノベーション後

  • 縁 -えにし-

    1階平面図

物件概要

所在地
大阪府豊中市
延床面積
69㎡(21坪)
構造
木造在来2階建て
既存建築年
1982年(築42年)
改修竣工年月
2022年09月
断熱性能
UA値:改修前1.42w/㎡・K ⇒ 改修後0.52w/㎡・K(改修前の2.7倍に向上)

企業紹介

企業名
株式会社ひかり工務店
Webサイト
https://www.hikarikoumuten.com/
コメント

私たちは、「家族の明るい未来をつくる」を理念に、家づくりの先にある将来設計を見据え、 お客さまの豊 かな暮らしと幸せを追求。さらに業界の固定概念にとらわれず、 常に新しい技術や工法、建材、デザインなどを取り入れた独創的な家づくりを目指しています。 お家づくりは、一生に一度のことであり、大切なことです。

グレードとは

性能向上リノベでは、断熱と耐震のそれぞれの現行基準を3段階に分類し、基準を策定。性能向上リノベーションがされた証として、必要なエビデンス情報を登録し、安心・快適な家であるお墨付きの証として「性能向上登録証」を発行しています。これからの時代に選ばれる、安心・快適な家を可視化します。

断熱

ランク UA値 断熱等級
0.46 6
0.60 5
0.87 4
耐熱の説明

耐震

ランク 上部構造評点 耐震等級
1.5以上 3
1.25~1.5
未満
2
1.0~1.25
未満
1
耐震の説明
  • 建物は、自立循環型モデル住宅(在来工法)を対象に、地域区分は、6・7地域(都心部を中心)に策定しています。
  • UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。
  • 上部構造とは壁や柱など家の構造物のこと。上部構造評点とは、震度6強の地震で建物が倒壊しないために必要な力を数値で表した必要耐力(Qr)に対する現状の耐力の割合を表します。
  • 既存木造住宅の上部構造評点1.0、1.25、1.5は、品確法においての耐震等級1、2、3レベルに相当します。